SHIORI
(更新)
英語を学ぶうえで、誰もが would という単語を目にしたり耳にしたことがあると思います。
would はそれくらい使われる頻度の高い単語です。
ですが、正しい使い方をマスターしている人はどれくらいいるでしょうか?
何通りもの使い方があるので、「もうわけわからない!」と思っている人も多いかもしれません。
今回は、そんな悩みを解決すべく would の意味や使うタイミング、そしてニュアンスを徹底解説していきたいと思います。
いろいろな場面で使われていて難しいイメージを与えがちな would ですが、実は大まかに見てみると役割は2つしかありません。
まず一つ目は、助動詞としての役割を持つ would です。
助動詞とは、 can/should/need/will/may などのように動詞の前に置いて、動詞の意味を少し変化させる言葉。
助動詞を使う事によって確信度の違いを表すことができ、細かいニュアンスを表現することが可能になります。
そしてこの助動詞として使われる would は「〜かもしれない」または「〜だろう」という推量の意味を持ちます。
ここで注意したいのが、推量として使われる would は、will の過去形ではなく、現在形として使われているということ。
さて、先ほど助動詞を使って確信度の違いを表すことができると言いましたが、実際 would にどれくらいの確信度があるのか気になりませんか?
そこで、よく使われる助動詞の確信度の比較を例文と一緒にまとめてみました!
「私は今日までに支払いを済ませなければならない」
「私は今日までに支払いを済ませるつもりだ」
「私は今日までに支払いを済ませるのにな……(もし時間があれば)」
「私は今日までに支払いを済ませるべきだ」
「私は今日までに支払いを済ませたほうがいい」
「私は今日までに支払いを済ませることができる」
「私は今日までに支払いを済ませることも可能だ」
「私は今日までに支払いを済ませるかもしれない」
「私は今日までに支払いを済ませる可能性もなくはない」
※ちなみに、100%確実な場合を表したいときは、助動詞を使わない普通の肯定文を作れば OK です!
二つ目は、will の過去形として使われる would です。
英語には、時制を揃えるという大原則があります。
すなわち、主になる部分<主節>が過去の形であれば、その他の部分も過去形にして時制を一致させないといけないのです。(例外もありますが……。)
例えば今日、みなさんが天気予報を見ていたとします。天気予報によると、明日は雨が降る予定になっています。これを現在形の文で表すと以下のようになります。
「今日の天気予報では、明日は雨が降るだろうと言っている」
そして次の日、昨日見た天気予報の話をみなさんがしているとします。天気予報は昨日見たので<過去>、今日その話をするときは過去形を使うことになります。
「昨日の天気予報では、今日は雨が降るだろうと言っていた」
× Yesterday’s weather forecast said it will rain today.
この二つの文を比較してみても分かるように、このときに使われている would は主節の時制に合わせるために使われた過去の形としてみることができます。
では、助動詞として使われる would と will の過去形として使われる would の違いは何なのでしょうか?
次の例文を見てみましょう。
「私の推測では明日は雨が降るだろう」
(まあ明日は雨が降るんじゃないかなあ)
このときに使われている would は助動詞の現在形です。
というのも、この文が仮に will の過去形を使っていたとしても、次にくる部分の助動詞の形が一致していないので原則に反します。
また、時制を合わせたとしても、
「私は明日雨が降るだろうと言うだろう」
または
「私は明日雨が降るだろうと言っただろう」
なんて……少し違和感がありますよね。
よって、I would say it will rain tomorrow. の would は will の過去形ではなく現在形の推量の助動詞として使われていることになります。
さて、ここまで2つの大まかな would の役目を説明してきましたが、would にはさまざまな使い方やニュアンスの違いがあります。
今度はその一つ一つを見ていきましょう。
「ジョンからの電話かもしれないからこの電話私にとらせて」
「行けたら行くかも=行けない」
どちらの文も現在形の助動詞 would「〜かもしれない」を使っています。
仮定法を使った場合、絶対に起こることのない、または起こる確率が非常に低い場合の想像上での出来事や行動、結果を表すことができます。
「もしも宝くじに当たったら豪邸を買うだろうな」
(実際に宝くじに当たる確率はかなり低い/実際に宝くじを買ったわけではない)
「もし私があなたの立場だったら同じことをすると思うな」
(全く同じ立場になる確率はかなり低い/まだ相手が行動していない状態でのアドバイス)
また、過去形を使うと、実際に起こったこととは別の想像上での出来事、行動、結果を表すことができます。
「もしも彼が上司の息子だと知っていたら割引してあげたのに」
(上司の息子だと知らなかったので割引しなかった)
「もしも彼女が私の親友の姉じゃなかったらデートに誘ったのに」
(彼女は親友の姉なので実際にデートには誘えなかった)
would は、like/love/prefer の前に置くことによって、より丁寧で控えめな希望を表すことができます。
「私はいつかアメリカに行きたいです」
「あなたのベビーシャワーにぜひとも行きたいです」
「(できれば)もう少し後で休憩に入りたいです」
I would like to と I would love to のニュアンスの違いは、like「好き」と love「大好き」と同じように、I would love to の方がより「〜したい」度合いが高くなるだけです。
I would prefer to は、自分の好みを丁寧に伝えて遠慮がちに意見を言っているようなニュアンスになります。
また、would は wish の後の文に付け加えることによって「〜だったらいいのに」と言う願望や欲望を表すこともできます。
「あなたがここに残れたらいいのに」
「彼女がパーティーに来ればいいのに」
would you? を will you? や can you? の代わりに使うことによって、より丁寧な言い回しでお願いをすることが可能になります。
このときに気をつけたいのが、答え方です。
「窓を開けていただけますか?」
「「もちろん!」」
このように、can you? の文をそのまま would に置き換えたような文の場合、答え方は普段通りで、「はい、できますよ」と言うときは Yes になり、「いいえ、できません」と言うときは No になります。
しかし、Would you mind? という文章が使われている場合、答え方はいつもの逆になります。
「トイレに行ってる間私の荷物を見ていてもらってもよろしいですか?」
「もちろん!」
なぜこのような答え方になるかというと、文中に mind という単語が使われているためです。
mind の日本語訳は「気にする」になり、上の文章を直訳すると、「トイレに行っている間に私の荷物をみることをあなたは気にしますか?」となります。
そのため答え方として「もちろん見ておくよ!」と言いたい場合、I would not mind.→ 「気にしないよ!」という答え方が正しくなるのです。
Yes と答えてしまうと、I would mind.→ 「気にする」、つまり「あなたの荷物を見ておけません」という意味にとらえられてしまうので、mind が使われている疑問文の答え方には注意が必要です。
would は過去形と一緒に使われることによって、「過去の拒絶」を表すこともあります。
「上司は(私の案を)誇らしく思ってくれたのに彼は私の案にどうしても賛成しなかった」
「私が(止めてと)お願いした後でさえも彼女は話すのをやめなかった」
would は過去の時点から見た未来を表すこともできます。例えば、次の例文を見てみましょう。
「今夜は寒くなると思うからコートと手袋を持っていこう」
→外に出かける前
「サラは私をお気に入りのレストランに連れて行ってくれると言います」
→サラとお話しているとき
これらの例文について、それぞれ実際に出かけた後、サラと会話した後に「過去から見た未来」を表すと次のようになります。
「今夜はもっと寒くなるだろうと思ったからコートと手袋を持ってきた」
→外に出かけた後
「サラは私をお気に入りのレストランに連れて行ってくれると言った」
→サラとお話した後
would は used to「よく〜したものだった」と同じ意味を持つこともあります。
「私が大学生のとき、放課後よくそのカフェで勉強したものだ」
「子供の頃、彼女はよく私のお気に入りのお菓子をくれたものだった」
will には未来のことを表すだけでなく、「習慣」という意味もあります。習慣の will の過去形を使うことによって、過去の習慣を表すことができるのです。
しかし will や would を使うと、go/eat/watch/do などの動作のみの習慣しか表すことができず、live/have/like/be などの状態を表すことは出来ません。
そのため、状態を表すときは would ではなく used to が使われます。
「昔は一階にクリニックがあった」
→今はない
「一階にクリニックがあるかもしれない」
※ちなみに used to は動作と状態どちらも表すことが可能です。
いかがでしたか?
would は日本人独特である何となく曖昧な言い回しだったり仮定表現ができ、とても便利な単語ですよね!
would にはさまざまな使い方があり、初めのうちは戸惑ってしまうかもしれません。
ひとつずつ意味や使い方をおさえながら徐々に慣れていきましょう!